近年、地球規模の環境問題が深刻化し、各分野において対策が進められています。
しかし、住宅分野における対策は、大きく遅れ住宅内で消費されるエネルギーは増加しており、それに伴う二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量が増加しており、その対策は急務であると言えます。
また、建築物の持つエネルギー性能を見た場合、新築物件は、設計段階から省エネ化に留意され建築されていますが、既存建築物はエネルギー性能が低いものが多い上に、建築物のエネルギー性能を向上させる改修方法を十分把握していない施工者も多く見られ、省エネに繋がる設備機器の設置が主流となっています。
既存建築物の省エネ化を図る場合、建築物のエネルギー性能を向上させなければ、設備機器の性能を十分発揮させることができません。
既存建築物の省エネ化は、建築物のエネルギー性能、エネルギーの使用状況を把握した上で、計画・実施する必要があるといえます。
1. 戸建住宅の省エネ方法
戸建住宅内で消費されるエネルギー量は、生活様式に大きく影響されます。また、設置されている設備機器、建築物としてのエネルギー性能が、建物ごとに異なるため、対象となる住宅の調査を行わなければ、適切な省エネ方法を提案することはできません。
住宅の省エネ化を図るためには、単にエネルギー効率の高い設備機器を設置する方法だけでなく、建築物のエネルギー性能の向上や、太陽光や風など自然エネルギーの有効活用、生活様式の見直しなども重要な検討課題となります。
当社では、平成18年度、平成19年度と、兵庫県内において、財団法人ひょうご環境創造協会、兵庫県立大学、神戸新聞社などと協働して、戸建住宅の省エネ調査を実施し、既存建築物の省エネ性能の実態を調べ、省エネ改修方法の検討を行いました。
平成19年度には、ひょうごエコ住宅普及促進地域協議会委員として、環境省、全国地球温暖化防止活動センターが行う、エコリフォームコンソーシアムに参画し、施工業者に対してエコリフォーム方法の普及・促進活動を実施しました。
また、平成20年度より同じく兵庫県内で、財団法人 地球環境戦略研究機関が家庭版ESCO事業としてスタートした、兵庫県うちエコ診断事業協議会に参画し、住宅で消費されるエネルギーの削減を含めた、省エネ調査診断活動を行っています。
2. CASBEEによる建築物性能評価方法
CASBEEは、建築物総合環境性能評価システムのことで、建築物を環境性能で評価し、格付けする方法です。省エネや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価します。
当社では、既存評価ツール、改修ツールを利用し、現状の環境性能の把握と、改修後の環境性能を比較検討し、既存建築物改修計画策定を行い、計画実施のお手伝いを行います。
近年は、改正省エネ法の施行に伴い、一定規模以上の建物では、改修工事時に、省エネ措置の報告が義務付けられており、改修工事後の環境性能向上を確認するために、CASBEE評価ツールが利用されるようになっています。